亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

心底、羨ましい。



好きな時に起きて、好きな時に食べて、好きな時に寝て。



雪路を踏んで、谷を降りて、山を昇って、ひたすら歩いて。



汚いものなんか無い。
ある筈の無い、雪の様に汚れ無き世界を………ひたすら。











「………僕はね、レト………………誰でもいいから………本当に、本当に信頼出来る……友達が欲しかったんだ…………昔から…」

「………友達…?」


……知っている言葉だが、どうもピンとこない。他人と関係をもたない狩人であるが故に、『友達』というものが何なのか、本質的な意味を知らないレトは首を傾げた。

「………………監禁生活だった僕には、友達なんて一人もいなかった。………同じくらいの子供の姿なんて、窓から見える外でしか見た事がなかった。………そんな僕が、人生で初めて会って…面と向かって話したのは………………君だったよ、レト」



…そう言って彼は顔を上げて微笑んでくれたが………いつもの太陽の様な笑みとは程遠い、曇りがかったものだった。

しかしその笑みはすぐに背けられ、 ユノは何処か遠い目を暗闇の向こうに向けた。
レトもつられる様に視線を闇に向けたが…視界にはこれと言って目を引くものは無かった。

彼が見ているものを、自分も見ているのだろうか。




そうやって沈黙を守りながら、二人揃って同じ方向を見詰めていると………「…僕はね」、と再度ユノが口を開いた。



何?…と瞬きを繰り返しながらレトは彼の方にゆっくりと顔を向けた。


寂しげな微笑を浮かべた彼の視線とぶつかった直後、ユノは低い声音で小さく言った。
















「………君を、信用していない」
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