亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「……レト………王子から離れるな…」
「………」
………状況把握出来ていないユノとサリッサ。
レトは無言でユノと繋いでいた手に力を込め、ザイは落ち着かない様子でキョロキョロしているサリッサの前に立った。
「……え、何?どうしたの?二人ともどうしてだんまりなの?………え………無視…?」
問うても問うても何の反応も見せてくれない、この無口な親子に軽いショックを受けるユノ。
そんなユノさえも無視し、二人はピリピリと張り詰めた奇妙な緊張感の中………互いに目も合わす事なく息遣いだけでコンタクトをとっていた。
………前は足場の悪い雪の丘。後ろと左右は深い森。
…切り立った高い崖側の森の奥から………梢に溜まった雪が、滑り落ちる微かな音が聞こえてきた。
しん…と静まり返った白銀の世界。
―――…キリキリキリキリキリキリ…
「………レト」
―――……キリキリキリ………キリ…
―――………ギリッ…
「―――………走れっ…!」
低い轟音の様なザイの叫びと共に、脱兎の如く、ザイとレトは雪路を蹴り上げた。
ザイは目を丸くするばかりのサリッサを、荷物でも持ち歩くかの様に軽々と脇に抱えて走った。
レトも半ば呆然とするユノを引き摺って、そのすぐ後を追う。
一行は雪の丘に沿って疾走した。