亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「―――……レト、バル、ディアアアアアアア―!!」
「………っ…!?」
何故かは知らないが誠名を大声で呼ばれ、一瞬気を取られたが、それも束の間。
一気に間合いを詰めてきた敵の刃を刃で受け止め、双方動かないままの無言の押し合いが始まった。
互いの剣の鈍い光沢が交差する隙間から、レトは目の前の敵の姿をまじまじと見詰めた。
…見た目からすると…歳は恐らく十代半ばの少年。背丈やまだ何処か幼さい顔立ちからして、二つ、三つ程年上だろう。成人はしていない、と思われる。
白髪混じりの短い銀髪に、大きな深い鳶色の瞳………………だが、その瞳は自分を険悪な表情を添えて睨んでいる。
…まるで、恨んでいるかの様な………憎悪に満ちた…。
押し合う刃が微かに擦れ、小さな火花が散った。
……レトは少し押し負けているのか、地面の積雪に深くめり込んで踏ん張りを利かせている両足が、本の少し、雪路を削りながら後退した。
「…………久し振りだな……レトバルディア=クウ………。………あの時の恨み……今ここで晴らさせて…もらう………!」
不意に、黙っていた少年はレトを睨みつけながら静かに口を開いた。
………久し振り…?………以前一度会っているのだろうか。
何となく記憶を辿ってみるが……彼の顔は一向に出て来ない。
………しかも人の恨みまで買っているらしい。
心当たりは全く無いのだが。
……もしかして、人違いでは無いだろうか?
………いや、しかし彼は自分の名を知っている。