亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「………王子……あまり前へ出ぬ様に。………巻き込まれます…」
痺れを切らし、出て行こうとするユノの肩を掴み、それ以上の進行を止めた。
……キッと、子供にしては中々鋭い瞳で、この王子様は睨み付けてきた。
ザイはその敵意に似た視線を、素直に受け止めた。
「………離せ…。………あんたなんかに言った僕が馬鹿だった…!………離してよ!………レトが死んだら………僕は、あんたを恨むよ。………レトだってそうさ!あんたを一番信用している彼だって………恨むに決まって…」
「…私は、そういう人間です」
敵の横薙ぎに払った剣を受け止め、跳躍して大きく後退しながら、レトは数本のナイフを投げた。
敵の少年は、剣を振ってそれらを全て弾き返し、レトに向かって猛進した。
「……私は、恨まれて当然の人間なのです…」
「………?」
そう呟くザイの目は、何処か虚ろで、遠くを見ていて………。
………ふと、彼はユノを見下ろし、視線を重ねてきた。
「………そう、当然なのです。………他人からも………貴方からも……………………………あの子…からも…」
………今更、父親振ってどうする。
そんな資格の無い私には………………狩人の冷たき生き方が、逆に……心地よい。
……心地よい。
心地よいのだろう?………私…。
………認めてしまえ。
「―――っはあ!!」