亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


間合いなどとうに無い程の至近距離。

少年は両手で剣を握るや否や頭上に振り翳し、真っ直ぐ下ろしてきた。


咄嗟に剣を構え、重いその一撃を受け止める。
長い刀身を通し、指先から全身にかけてビリビリと伝わってくる衝撃。
……一瞬身体がふらつきそうになったが、なんとか耐えた。

………力は身体の大きい相手の方が上。真上からの押し合いは避けたいところだ。
…激しい刃こぼれを覚悟で、身体を捻り、交わる剣の刃を反らそうとした。












………その直後、だった。



















……握り締めていた剣に稲妻を象った様な亀裂が一瞬で生じ、真っ二つになると同時に、レトの刃は……断末魔の悲鳴を上げた。





「―――…っ!」








………叩かれ過ぎた。
敵の攻撃は思っていたよりも重く、武器自体にダメージを与えていた。



銀色に光る刃の破片が、キラキラと雪の様に舞い散る。折れて孤立した剣先がクルクルと回転しながら、レトの視界から消えていく。

―――…何処からか、ユノの声が聞こえてきた。
………空耳だろうか。










(………刃こぼれ…どころじゃ………ないや)

反射的に、レトは一歩跳び下がった。

瞬間、垂直に振り下ろされた少年の剣が空を切り、レトの髪を数本断ち、肩から胸辺りを覆っていたマントを切り裂いた。



…怯んでいる暇は無い。距離を取るや否や、レトは折れた剣を握り締めたまま、低く構えた。


壊れた武器で構えるレトに、少年は問答無用で切りかかってくる。

















「―――レト!!」






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