亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


「………大丈夫ですか?」

どうして剣が飛んできて彼に当たったのかは分からないが、とにかく寒いからマントを取りに行くレト。

さっき囮として使ってしまったためか、背中の辺りに穴が空いてしまっている。

………あーあ…と少しションボリしながら俯せに倒れたままの少年の元に戻ると、何処にいたのか…アルバスが彼の背中に乗って頭を突っ突いていた。


………ピクピクと痙攣する少年は、冗談ではなく本当に苦しそうだった。
いっその事、今ここで楽にしてやろうか。
………勿論、別の意味で。



彼の側でしゃがみ、何となく、アルバスと一緒に彼の頭を指で突っ突いていると…。


















「―――…ダンテ、見っけ!!」











……と、楽観的な声が、頭上から響き渡った。

アルバスと少年以外の、その場にいる全員が、高々とそびえる雪の丘の頂上を見上げた。

………あの足場の悪い丘の上で苦も無く仁王立ちしていたのは………女性だった。





二十代から三十代くらいの細身の女性。
少年と同じ銀髪に、鳶色の気の強そうな瞳は、天真爛漫な少女の様にキラキラと輝いている。

揺らめく白いマントと鋭い独特の気配からして、彼女も狩人。そして………多分、少年に剣を投げたのも、彼女だろう。




女性はブンブンと手を振って大声で叫んだ。

「あら―!久し振りね―、ザイ」

「………マナ?…………マナレアン…か…?」

首を傾げながら、ザイは呟いた。

マナという名の女性は丘から軽やかに飛び下り、ザイの元につかつかと歩いてきた。



………途中、少年を踏んで。


通り過ぎる寸前、マナはレトを見下ろし、にこりと笑いかけた。
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