亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


「…大きくなったわね―、レトちゃん。……あ、失礼。レト君―!」

「………」



………人見知りなレトは無言でザイの元に駆けて行き、父の後ろに隠れた。

マナは苦笑を浮かべ、親子の前に歩み寄った。

「………元気だったザイ?会うのは四年振りかしら?」

「………………ああ。………お前がここにいるということは……………あの少年は…………ダンテか…?」

「そうそう!あたしの馬鹿息子。大きくなっちゃったでしょ―?……ちょっと目を離した隙に悪さしてたみたいね―………………後でしばかなきゃ…」

笑顔で呟いた最後の台詞は無視し、ザイは真剣な面持ちで口を開いた。



「………お前達……王族暗殺の依頼を受けたのか?」

それを聞いた傍らにいたユノとサリッサは、警戒しながら一歩後退した。


「………まーね。………受けてみたけど………護衛があんた達なら、話は別。依頼は放棄させてもらうわ。…………ザイが相手だと、命が幾つあっても足りないもの。………………ということで、レト君。………ダンテの無茶苦茶な果たし合い宣言は、不正式なものとして掟に習い、親のあたしが却下させて頂くわ。………良いかしら?」

にっこりと微笑んでくるマナに、レトはザイの背中にしがみつたまま、無表情でコクリと頷いた。




「………ねぇザイ……この人と知り合いだったの?」

未だこの展開が理解出来ないでいるユノは、顔をしかめつつマナを指差して言った。
レトも、どうも分からない様で、不安げにザイを見上げた。


「……………狩人の…友人の一人。………彼女の名はマナ。マナレアン=コウ。………そしてあの少年が、彼女の息子のダンテ。…ダンテレスト=コウ…」
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