亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


……独り、戦場へと帰って来たレトは、未だ対峙しているであろう少女と金髪の女がよく見える場所へと移動し、素早く大木の後ろに身を潜めた。
深くフードを被り、厚い積雪から顔を半分だけ覗かせ、息を潜める。


…レトの視線の先では案の定、両者の戦いがまだ続いていた。


















憎らしい程華奢で、色白で、綺麗な手が、その可憐な姿には似つかわしくない速さと剛力で、大振りな剣を弾き飛ばした。


相手の手は無傷なのに対し、弾かれた剣は根元から折れてしまっていた。
……一体どんな弾き方をすれば、こうなるのだろうか。

一端間合いを取るために後退したドールは、今更ながら思う。


(………………この女………強い………)






それも、半端無く。

相手の女は避け続けてばかりだが、その全ての動きには無駄という無駄が無く、並大抵の兵士よりも圧倒的に群を抜いていた。


段違いの強さではない。言ってしまえば……格が、違うのだ。













「………小娘、お前はバリアンの兵士なのか?」

ドールが一度弾かれた鎚を拾って構えているのをぼんやりと眺めながら、ローアンは何気無く言った。

こんな年端もゆかぬ少女を使わなければならない程、バリアンは人手不足なのだろうか。





そんな問いに、ドールは言葉で答えるよりも早く、まず睨んできた。なかなか目力のある子供だ。



「………あんなのと、一緒にしないでちょうだい!!……傍若無人な老いぼれ陛下様に従っているのも今の内なんだから……!………関係無いわ…味方なのも、今だけよ……」

「……………お前…バリアン王に敵対しているのか?」


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