亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

訳が分からない…と、怪訝な表情を浮かべるローアン。

ここでこうやって敵対している事がおかしい目の前の少女は、問答無用と言わんばかりに鎚を構えた。

「………別に…好き好んで老いぼれじじいなんかに従っている訳じゃないわ…!………この国の王族がいなくなる事で何が起こるかなんて……知った事じゃない。あたしには、あたしの………願いがあるのよ…」










そうだ。

こんな女の相手をしている場合じゃない。



あの子供一人を殺せば。

あの一人だけが死ねば。















(………………お父様……もうすぐ、もうすぐ………出して…差し上げるから…)













「………邪魔、なのよ…!!」

両手で鎚を握り直し、ドールは真っ直ぐローアンに突っ込んで来た。

こちらに飛来する鉄の塊は、吹雪諸共空気を殴る様に勢いよく振られた。


(………願いだか何だか知らないが……)

あらゆる方向から向かってくる鎚を全て紙一重で避けながら、ローアンは眉をひそめる。




(………デイファレの王族を殺してしまえば、元も子も無いという事を………分かっているのか…?)



そんな推測が、ローアンの脳裏を掠めた。

………創造神アレスからの御告げは、一言で言えば崩れた三大国の秩序を正せ……という命だった。

それを破る事は即ち………世界の崩壊を意味する。

そんな洒落にならない事実を知っている上で、この少女はこんな事をしているのだろうか。
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