亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「……小娘、お前のその行為がどういう結果を招くのか……知らないというのか…?」
「ごちゃごちゃと……うるさいっ…!!」
余裕な表情でペラペラと口を開くこの女の態度が、不快に思えてならない。
何故そんなにも冷静なのだろうか。何故、少しも動揺していないのか。
殺意を向けているのに。
息の根を止めてやろうとしているのに。
まるで、まるで。
自分など、眼中に無いと………言われている様で…。
「……余裕ぶってるんじゃないわよ!!」
奥歯を噛み締め、懇親の力を込めてドールは鎚を頭上に振り翳した。
あらゆるものを砕いてきた鉄の塊が、その綺麗な金髪に向かって落ちていく。
一寸の狂いも無く、重い鎚は影と共にローアンの頭上に向かい、そのまま垂直に振り下ろされ。
金色の髪に触れるか否かという寸前で。
鎚は。
―――…ピタリと、止まった。
「―――…っ…!?」
驚きのあまり、ドールは目を大きく見開いた。
今まで……標的に対し止まるという事を知らず、ましてや誰にも止められた事の無かった自分の鎚が………。
………華奢な腕一本で、止められた。
ローアンの手は、鎚の長い柄の部分をがっちりと掴んでおり、ドールが押しても引いても、鎚はその空間に固まってしまったかの様に微動だにしなかった。
「………っ……こ…のっ…!」
……予想外の事態に半ば焦燥を覚えながら必死で足掻くドールを、ローアンは鋭い眼光で見下ろす。