亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~










「―――…かっ…!?…………ぁ……」

























素早い手刀によってナイフを叩き落とされ、同時に真上に向かって蹴り上げられたドールは、垂直に伸びるローアンの片足の天辺で宙ぶらりの状態のまま………意識を失った。



………腹部への蹴り上げは、相当強烈だった様で、その一撃だけで少女はピクリとも動かなくなった。


ローアンは足を下ろし、ズルリと地に落ちる気絶した小柄な少女の身体をそっと、受け止めた。

……本のさっきまで、敵意をむき出しにして喚いていた小娘だったが……今こうやって目を瞑っている少女の顔は、まだ幼い、ただの娘だ。

「………すまないな。……穏便に済ませたかったのだが…」

苦笑を浮かべながら、厚い積雪の上に少女を横たわせた。
茶色っ気のある赤い結った髪はすっかり乱れ、半分解けてしまっていたが、雪の白さに映えるその色はとても綺麗に見えた。


………兵士と変わらぬ殺気を放つ、まだ幼い少女。
着飾れば可愛らしいであろう少女が………兵士同様に武器を持ち、この様な場所にいるなんて。


「………こんな子供まで巻き込むとは………バリアンも、どうかしているな。…………いや…フェンネルも変わらないか」

……人の事は言えない。よくよく考えてみれば、自分だって10歳の時には剣を握っていたではないか。


………剣を握るまでに行き着く経緯や、立場は違っていると分かってはいても………なんだかこの少女が、昔の自分と重なって見えた。






(………反国家組織…か…。………何処も同じだな……)


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