亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
狙いは、外さない。
彼女がどういう人なのかは知らないが。
知らないけれど。
全然、知らないけれど。
(………………生を受けた者として……生を狩る狩人として……)
命を頂く前の、いつもの祈り。口には出さないが、頭の中で、ゆっくりと唱えた。
………両手は今にも、込めた力を放ちそうだ。
(………全ての精に……命に………)
キリッ…と、弦が鳴いた。
時が来た、と……教えてくれた。
………レトは、最後の深呼吸をした。
(………感謝しま…)
―――刹那。
視界の、中央の。
矢尻の先の。
目線の先の。
標的の…………女が。
こちらを向いた。
(………………あ…)
レトの見開かれた瞳が映すのは………綺麗な、綺麗な女の顔。
笑ってもいなければ、怒ってもいない。
色白の、無表情な顔。
金髪の髪。
前髪から覗く、スカイブルーの瞳。
透き通る様な、全てを見透かしている様な。
青から、赤へと変わる、瞳。
真っ赤に染まった、鋭い瞳。
ユノと、同じ………。
赤くて。
綺麗な。