亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


少年はこちらの様子を窺うばかりでなく、弓も構えていた。

………殺そうとしていたとしか思えない。矢尻はこちらに真っ直ぐ向いていた。
もしあの瞬間、トゥラが出てこなければ、矢は放たれ、“白の魔術”が勝手に発動していたに違いない。


………とにかく、よく分からないが………敵と認識されたらしい。



「……ジン…覚えているか?………狩人の子供が庇っていた……もう一人の別の子供…」

「………はっ。……顔は見ておりませんが…」

「………あの子供…」

ローアンはその場で屈み、足元の積雪に半ば埋まっていた小さな物を摘み取った。

目線の位置まで掲げ、その小さな物体を眺める。






薄汚れた、黒い石。

……ひびだらけで、今にも割れてしまいそうなそれは…強大な魔力を吸い付くし、役目を終えようとしていた。





「………渦中の……王族だな」


パキンッ…と、石は突如粉砕してしまった。木っ端微塵になったそれは吹雪にさらわれ、サラサラと舞い散った。

「………王族?…我々とバリアンが捜している…次の王となる人間…?………では…先程の狩人は護衛…」

「………フェンネルが敵と見なされたのならば仕方無い。………問題は………その王族の子供が……危ない、という事だ」





先程のバリアンの者達から、空の魔石を食らってしまったのだろう。

………恐らく、今現在王族の子供は………かなり危険な状態に違いない。
意識があるのか…無いのか。…昏睡状態が続けば、最悪な場合、二度と目を覚まさない事もあり得る。



「……今…追い掛けても、追い付けないだろうな………面が割れてしまっている…」


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