亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

護衛らしき狩人は、大人と子供の二人。親子か何かだったのだろうか。

とにかく、その内の大人の方は………身のこなしからして、かなりの実力の持ち主だろう。…出来れば相手にしたくはない。

子供も子供で………なかなかいい腕を持っている。………顔はよく見えなかったが。





「………ですから、陛下……最初から子供の方だけでも足止めをしていれば良かったのです」

「ジン、お前に任せると大抵の奴は瀕死の状態じゃないか。………それに私は、そこまで深追いしたくはないと言っただろう…」

「………ですが陛下、効率良く物事を進めるならばある程度の伏線は多少なりとも必要で…」

「くどい」


ローアンは無表情で、淡々と述べるジンの右目の眼帯に裏拳を放った。


………障害部分である右目に強烈な一撃を放たれ、その場でしゃがみ込み、右目を押さえて俯くジン。




結構、痛かった様だ。

その傍らでは、トゥラが鼻で笑っている。












無言で痛みに耐えるジンを傍目に、ローアンは溜め息を吐きながら懐から取り出した地図を広げた。




………『禁断の地』、即ちこのデイファレトの城まではもうすぐなのだが………城を囲む様に密集する、針山地帯を越えて行かなければならない。

………王族等の目的地である城の周りには、多数のバリアン兵士が潜んでいるだろう。
…王族の子供の容態も気になる。


………それに。













(………この……異常な吹雪…)












何日も前から吹き止まない猛吹雪。
自然の猛威は誰にも止められないものだが………この吹雪は、少し妙だ。




(………『嵐』、とか…言っていたな…)
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