亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「………その……何が…面白いのかと…思いまして………」
「何が?」
ずいっ…と、ケインツェルは片膝を突いて控えている兵士等の前に滑らかな動きで近寄って来た。
………一瞬、兵士達はビクリと震えた。無意識で。
「……何が?何が?何が?…何がって………この殺風景且つ退屈で退屈で退屈で仕方無い部屋の中で……私の好奇心に満ち溢れた心が興味を引かれるのは、この書状以外何があるのですかねぇ?いやいやいや、無いでしょう!無いでしょうよ!!私の空っぽの頭の中は、今やこの書状の事でいっぱいなのですよ!お分かりかね!諸君!!」
「………は……はぁ…」
………否定する訳にもいかないし、第一何を否定するのかさえよく分からない。よく分からないし、とにかく同感です、と答えなければ後々面倒な気がするので………ここは頷いておく。
…するとケインツェルはニヤニヤと笑みを浮かべながら、再び書状に目を通し始めた。
常日頃、この側近は笑みを浮かべているが、本当に愉快な時はこんな悪魔の様な…とにかく不気味な笑みを浮かべる。
……この性格さえ無ければ、綺麗な顔立ちの美男…であるのに、実に勿体ない。
性格一つで多大なる損をしている、と誰もが思う。
「………フェンネルからの書状はいつ見ても面白いものなのですよ。…見る度に、表情を変える。………一体幾つ裏の顔を持っているのか………本性を見せてくれそうで見せてくれない………フフフフ…焦らすのが得意なのですねぇ…!この腹の探り合いがまた何とも楽しくて仕方無い……」
「………」
この人、根っからのサディストかと思っていたが……ちょっとマゾっ気がある様だ。