亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
(………動き、といえば………少々、規模の小さい動きならとっている様ですが…)
デイファレトに潜伏している兵士達から、毎日伝えられる情報。
内容は本来の目的である王族暗殺に関する事項以外にも実に様々だ。
その中には、自分達以外にもあの雪国に潜伏している連中がいる…という興味深い情報も数多い。軍部大臣達曰く、それらはフェンネルの者達に違いない…という事だ。
………フェンネルのどういった者達かは知らないが……あの緑の国の女王様は、純情そうな顔をして一癖も二癖もある事がよく分かった。
………とりあえず事実であるのは……バリアンの計画は極秘ではなくなっているという事だ。
となると…デイファレトに潜伏しているフェンネルの者達は、こちらの邪魔をしてくるに違いない。
(………水面下…いえ、雪の下での……睨み合い…でしょうか)
………雪国の中で飛び散る、この静かな火花。
もっと、もっと………大きくならないだろうか。
大きくなって、雪の下から出てきて……花火程の大きさにまで膨らまないだろうか。
こんな静かな睨み合いではなく。
(………『戦争』に、育ってくれないでしょうか?)
……戦争。
生き死にが忙しなく飛び交う、荒廃した人間の最悪の産物。
一度始まれば、それに決められた終わりは無く。
得る物は無く、失われる物ばかりで。
そこには何も、残らない。
「………………退屈は、飽きました」
クシャッ、と…書状を握り潰しながら、ケインツェルは薄ら笑みを浮かべた。