ツインの絆
「大輔、ごめん。僕はただ… 同じ家に居るのに顔も合わせないから… 」
「勝手に籠って、ばあちゃんに飯まで運ばせている奴だぞ。
まあ、元々孝輔は仲が良かったから… 」
と、大輔の口からは皮肉交じりの言葉まで飛び出している。
「大輔… 」
孝輔は、大輔の怒りの底には、母が自分と真理子を溺愛し、
同じように育ってきた双子の大輔を疎遠にした事への、
憎しみの心があった事を感じた。
ショックで声が出なかった。
母が大輔の心を傷つけていたのだ。
いつもは天真爛漫に元気な大輔だったが、
子供なのだから母に甘えたいのはみんな同じだった。
だけど実際は…
父も祖父母も初めから異母兄になる長男の和也を可愛がり、
何かと心を砕いて来た。
しかし千草の実子で孝輔と双子の大輔には…
途中でピアノをやめ剣道に転向し、
千草や真理子、孝輔と生活様式は変っても、
いつも元気だったからみんな安心して来た。
「大輔… お前も淋しかったな。父ちゃん、
お前は大丈夫と思って来たが… 悪かった。
孝輔は優しいから真理子の事を言っただけだ。八つ当たりはするな。」
そう言いながら父は隣に居る大輔の肩に手を伸ばし、
軽くたたくようにしてそのまま手を置いている。
「和也のように成長が遅く、
型破りなところがあれば気になったが、
お前は成長も良くて、
いつ見ても元気そうでトラブルも起こさなかったから安心していた。
しかし、考えてみればお前こそいつも一人だったな。
双子だから孝輔とダブらせて感じていたが… 」
真理子の話をしていたつもりだった。
しかし、父の口から出たのは,真理子に怒りを向けている
大輔の異常なほどの反応から感じた、
大輔への侘びのような言葉だった。