†Helfin Reise†
リグルは指に嵌めたリングを回した。

「シャルフ」

青くリングは光り輝きながら、簡単な装飾を施された剣に変わった。

「ただじゃ済まないよ。」

その剣先を男に向け、青く冷たい目で言った。

「はっ、小僧のくせに生意気じゃないか?」

男は太い腕に嵌められた黄色い腕輪を指でなぞった。

「フエルテ」

みるみると腕輪はこん棒に変わった。

「俺もカペラは持ってんだよ。それも日常的なのじゃなくて、戦いに特化した闇市で買ったやつだぜ。」

カペラのランクは1~7で順に白、緑、赤、青、黄、銀、金である。

つまり、リグルの剣はランク3で男のこん棒はランク5。

「アルス、他のやつは?」

『持ってないみたい。』

(なら倒すのはこいつのみ。アルスにも加わってもらえばすぐに倒せるだろ。)

「援護頼む。」

『了解!』

リグルは剣で風を切りながら、男のすぐ脇まで寄り、腹から背に向けて切り上げた。

男は咄嗟にこん棒を盾代わりにし、リグルの攻撃を防いだが、踏み込んで切り上げたリグルの攻撃の重さによろめいた。

『タイミングバッチリだね。』

次の瞬間には男の背に回り込み、鋭い爪で背中を切り裂いた。

「がっ!」

こん棒を杖代わりにし、踏み止まっているが、背中からは大量の血が流れ地面を染めた。
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