†Helfin Reise†
「ねぇ、何で女の子追いかけてんの?」

頭の後ろで剣を持ちながら腕を組み、男に近寄る。

嫌な汗をかきつつ、男は苦笑した。

「小僧に言って…、何になる?」

「それはわからないな。でも聞かないともっとわからねぇ。」

男まであと1メートルのとこでぴたりと止まり、剣を振り上げた。

「言わないなら、殺すよ?」

有無を言わさない冷酷な瞳だった。

男は背中の激痛でもうろうとする意思の中、既にまともな判断が出来なかった。

「小僧に…、殺しは出来ないさ。」

男は片足を後ろに下げ、杖にしていたこん棒をリグルに勢いよく振った。

ザクッ

男の振ったこん棒の上をとんっと蹴り、そのまま男の背に回り、さっきアルスが切り裂いた傷に自らの剣を深く突き刺した。

「っ!!…」

だらりとぶら下がる男から剣を抜き、冷たい目で男を見た。

急所を上手く刺され、男は声をあげることなく、地面に倒れた。

「俺は人を殺すことに、躊躇いなんてしないから。」

それから、ちらりと後ろを振り返り残りの男二人を見ると、既に走り去っていた。

「ふぅ…。」

剣に付いた血を男の服で拭き、一振りした。

すると光りを放ちながら、リングとなった。

『お疲れ様、まさか殺しちゃうとは。』

アルスはリグルにかけよりにこりと笑った。

「お前が急所狙って、あと一撃ってとこまで追いやったんだろ?援護しろって言ったのに。」

『まぁまぁ。指名手配されてる奴だったよね?確か、賞金は5000zor。』

少し反省の色を見せるアルスを怒る気にならなかったリグルは茂みによった。
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