狙われし王女と秘密の騎士

その人物ーー男性はこちらに気がつくと口角をあげて立ちあがった。


「遅せぇよ」


文句口調だが、表情は笑顔でカイルに嬉しそうに微笑む。
背はカイルくらい高く、切れ長の瞳。髪は短髪で暗めの茶系。
まぁ、そこそこ顔立ちは整っている。
カイルの知り合いのようだ。カイルもその男性に穏やかに笑いかける。


「久しぶり。待たせたな」
「ったく。俺も忙しいっての!」
「これも仕事の一つだろうが」
「待たされるのは仕事じゃねーもん。で?」


その男はひょこっとカイルの後ろにいた私達を覗き込んだ。目が合うとニヤッと笑う。


「どうも。初めまして」
「初めまして」


気さくに話しかけられ、驚きながらも頭を下げて挨拶をする。


「シュリ、お頭。こいつはライ。ナリエル国第二筆頭剣士官」
「え!?」


驚きの声をあげたのはもちろん私だった。
第二筆頭剣士官っていったら王族に一番近くで護衛に着く剣士の称号をもつ、いわば直属の部下になる。
つまり、常に王族の隣にいて身を守る高級階級である。
王族の側にいるような人がなぜここに!?

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