狙われし王女と秘密の騎士
このライという人物の立場がわかるからこそ驚きを隠せない。
そして、同時に祖国で常に影のようにそばで我が身を守ってくれていた剣士官らのことを思い出す。
彼らは無事であろうかと。
「事情はこいつの文で聞いてます」
「こいつってなぁ」
カイルは呆れたようにため息をついた。
そんなカイルに見向きもしないでライはニコニコと私に向き合った。
「エルシールから来たんですよね?大変でしたね」
「いえ。あの、剣士官が何故ここに?」
「それはカイルから連絡あったから」
「え?」
カイルを見るが澄ました顔をしている。
カイルは、旅をしながら他国の情勢や情報を伝えているって言ってた。
つまりその相手はこの人ということだろうか?
国の政に関わってるとなんとなくわかっていたが、こんな上の立場の人間ととは思わなかった。
隣のお頭がおずおずと話しかける。私の驚きからライが上流階級とわかったのだろう。
「あの、お二人はどんな関係なんですかい?」
「ライと俺は昔からの友達なんだ。腐れ縁ってヤツ」
お頭の問にはカイルが答えた。