狙われし王女と秘密の騎士
昔からの友達。なるほど。それで納得がいった。
すると、ライから驚きの発言がある。
「とりあえず、陛下に謁見できるよう準備を整えるから、今日はここに泊まって下さい」
「ええっ!ナリエル陛下にお会い出来るんですかい!?」
お頭が驚きで体を反る。突然の陛下への謁見話に慌てていた。
急展開な話に私も目を丸くする。
「ええ。エルシールの状況も知ってるし、うちに流れてくるエルシール難民も増えた。エルシールとうちでは国王同士しか面識はなかったから情報把握が遅れましたが、そろそろこちらも動くつもりだったんです。あなた方が亡命者の代表して王にお会いして下さい」
亡命者の代表として。
そうなのだ。幾度となく思った、身分を明かしての他国への救助。しかし、隣国はサルエルの手が伸びることに怯え、ナリエルのように遠い国は王女の顔など知らない。
身分を証明できなかった。
だからこそこんな遠回りしてしまったが、ついにそこに光がみえたのだ。
「うわぁ……すげぇなぁ」
お頭が顔を赤くし、興奮で体を震わせる。
「まぁ、何てったってカイルの頼みとありゃぁなぁ~」
ライはカイルをチラッと見てから意味ありげに私を見た。
その視線の真意はわからず首を傾げる。
「明日迎えに来ます。では」
ライはそれだけ言って、扉へ向かっていく。
カイルもライを送るのか、一緒に出て行ってしまった。