狙われし王女と秘密の騎士


カイルは話しやすいようにだろうか、パタンと窓を閉めた。
外の喧騒は一気に静寂へと変わった。


「何?」


再び無機質な声で聞いてくる。
そのカイルの声が素っ気なくて。
また胸が苦しくなった。
私はカイルを失望させたのだと思った。


「ごめんなさい……」


声を発すると不意に頬が濡れた。泣いているのだと気が付いたが、止めるには遅かった。 


「俺が泣かせてるみたいじゃねーかよ」


カイルは大きくため息をついた。
そのため息すらも今は胸に響いて痛い。


「カイル、あの時は本当にごめんなさい。っう、失望させたって、わかるけど、でもお願いだから、嫌いには……ならないでっ」


泣きながら必死に訴えると、カイルがこちらに近寄ってくる。
俯いたらカイルの靴が見え、気配でも目の前にいることがわかる。


「あのなぁ~!」


カイルは私の頬を手で挟んで上を向かせた。
涙の向こうにカイルの呆れた顔がある。



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