狙われし王女と秘密の騎士

礼をする門番を横目に城門をくぐりぬける。
フェイクとはいえ、長い階段を登り案内されるがまま、私達一行は城の中に通された。

どんどんと宮殿の奥に通されて行き、少しずつ緊張が高まってくる。
その時、前から軍服を纏った男性がやって来てこちらに気がついた。


「あ、ライ様。先日の出陣の件ですが……って、あれ!?カイル様!?」


軍服の厳つい男性はカイルの姿に驚いて後ずさる。


「いつお帰りに!?」
「いま」
「お帰りなさいませ!」
「また、手合わせしような」
「ハッ。是非!」


礼をしている男性を残し、先を進む。
さっきの男性の様子から、カイルはやはり城に頻繁に出入りしていたのだと確信した。
そっと顔を覗き見るがいつもと変わらない。お頭もなにか言いたげな表情をしたが、雰囲気から言葉を発せられず黙っていた。
そして、案内していたライがある大扉の前でやっと足を止めて振り返った。


「この奥が玉座の間になる」
「玉座の間!?」


いきなりそこに通されるとは思っていなかった。
一般的な謁見の間に通されるものだとばかり思っていたのだ。
謁見の間は貴族や役人が王に会う際に使う間で、国民が謁見できる公的な場所と言える。
比べて玉座の間はさらに城の奥にあり、城内の者が王と会う際や来賓を迎える際に使うことが多い。
王の執務室の側にあるのだ。








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