狙われし王女と秘密の騎士
どんどんと城の奥に進むからまさかと思ったが、突然のことで私も顔が強ばった。
しかもこんな簡素な服で王に会える場所ではない。しかし、既に話は通っているようで、ライの言葉に迷いはない。
「この先で陛下がお待ちです。準備はいいですね?」
ライは聞きながらも返事を待たずに、扉を開けるよう扉の前にいた兵士に合図を送っていた。
重い音を立てながら扉が開かれる。
チラリとカイルを見たが表情がよく見えなかった。
「失礼致します」
ライがよく通る声で入っていく。私達はそれに続いた。
天井は高く、とてつもなく広い部屋。
大きい赤い絨毯が扉からまっすぐ数メートル先まで敷かれており、そこには数段高くなって玉座があった。
そしてそこに座るひとりの男性の姿。
「陛下。お連れ致しました」
玉座の前で止まり、私達は頭を床に近づけ、最高礼をする。