狙われし王女と秘密の騎士
カイルは居心地が悪そうにこっそりため息をついていた。
「さて。そなたらはエルシール国からの亡命者だとか」
国王はカイルから視線を外し、私達に向き合う。
不意に話かけられ、私達は再び頭を垂れた。
お頭は緊張で顔が強張っているため、代わりに私が返事をする。
「はい陛下。ご挨拶が遅れ、申し訳ございません。私共は……」
「よい」
「は?」
挨拶をしようとしたら、国王に遮られてしまい、顔を上げて首を傾げる。
“よい”って、なにが?
国王はジッと私を見つめてくる。なんだか射ぬかれるようだ。
国王はしばらく黙ったまま私をしげしげと見つめていた。
居心地の悪さに落ち着かなくなる。隣のお頭なんて石と化している。
何だろう。何か失礼なことでもしてしまったのか。
妙な緊張がただよう。