狙われし王女と秘密の騎士
「知っていたの?」
カイルに恐る恐る尋ねるとゆっくりこちらを見たカイルと線が絡まった。
まっすぐ見てくる目線には何の感情も見られない。
なぜそのような目をしているのか。
その無表情さに苦しくなる。
「エルシール王女。報告ではシュリと名乗っていると聞いておるが?」
国王に声をかけられ、私はカイルから目を離した。
国王の言葉は私が王女と確信を持っており、探る様子はない。
完全に正体が知れているとわかり、平伏して素直に身を明かすことにした。
「正式にはシュカと申します。シュリは偽名でございます。身を偽り陛下にお目通りしたこと、心からお詫び申し上げます」
「それはよい。そなたにも事情があったのだと察しはついている」
陛下は私の無礼など気にもしないように再び楽しそうに笑った。
そのやり取りを聞いていたお頭がギギギッと私にひきつった顔を向ける。
「シュカ姫様……?この坊主が?」
私が困惑しながらも、素直に小さく頷くとお頭は見る見る顔色が変わっていった。