狙われし王女と秘密の騎士


「本当に?」
「変装のつもりで髪を切ったの。お頭、黙っててごめん」


お頭はしばらく固まっていたが、ハッと我に返るとガバッと床に頭を擦り付けて平伏した。


「も、申し訳ありませんっ!知らなかったとはいえ、とんだご無礼をいたしましたぁ!!」
「やめて!お頭!」


慌ててお頭の身体を起こそうとするが、ピクリともしない。
必死に謝るお頭に、罪悪感でいっぱいになる。


「やめて!そんなことしてほしくない。私はお頭を騙してたんだから。私こそ嘘をついていてごめんなさい」


そうだ。お頭が謝ることは何もない。
謝らなければならないのは私だ。
身を偽り、嘘をついていた。
祖国すら逃げ出し、誰ひとり救えていない。
悪いのは私なのだ。


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