狙われし王女と秘密の騎士

「頭とやら。身体を起こしなさい。姫が困っておるぞ」


私達の様子に見かねて助け船を出したのは国王だった。
ナリエル国王に直に声をかけられ、お頭はやっとこ身体を起こす。
涙目になりながら私を見つめ、国王に体をむきなおした。


「話をもどそう、シュカ姫殿。今回の騒ぎ、カイルからの報告で大体は聞いておる。大変だったな。私もサルエル国王の暴挙ぶりには以前から頭を悩ませておった」


こんな大国ですら、サルエル国王は頭痛の種だったようで苦々しい顔をする。
そして、国王は身を正し私を見据え、後ろに控える大臣や家臣らにもよく聞こえるような凛とした声で言った。


「サルエル国の協定違反には、エルシール国と協定を結んでいる我が国にとっても違反となりえる事。王女が我が国に助力を求め、サルエルを打つため、正式に依頼があれば我が軍をお貸しすることも出来るが、エルシール王女よ。どういたす?」


つまりナリエル国王として我が国に助力し、後ろ楯となるということだ。その発言に私も身を正す。
ここは王女として答えなければならない。


「ナリエル国王陛下。エルシール国王女として、この国に正式に軍協力を要請致します。どうか我が国をサルエルから取り戻すため、ご協力いただきたい」


そう告げ、深く平伏する。
そしてナリエル国王は深く頷くと、国王の後ろに控えていた家臣が数人動いた。
今後に備え、準備を進めるためだろう。国王はこうなることをわかって、私に合ってくれたのだと思うと感謝の気持ちでいっぱいになる。


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