狙われし王女と秘密の騎士

耳の横で安堵のため息が聞こえる。


「良かった……。エルシール陛下にお前が縁談断ったって聞いた時は本当に焦ったんだ」


カイルは私の肩に顔を埋めながら言った。


「この半年、お前にただただ逢いたかった」
「本当?」
「あぁ。あの日、ここで別れた時も、本当はこうして抱きしめたかった。でも立場上それはまだ出来ないって思ってたから」


カイルもあの時、離れがたかったのか。
それを縛り付けた身分を、いらないとまで言って私のもとへ来てくれた。
半年。
きっと、それは簡単ではなかったのではないだろうか。
でも、カイルがどれだけ私を想ってくれてたか熱い体温を通して伝わってくる。
触れあう胸から響く鼓動の速さが物語る。
私もそれを伝えたくて、離れないようにカイルの身体をギュッと掴んだ。



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