小悪魔術師キス・ディオナ
デブは、自らの意志とは関係なく、一直線に悪鬼那の方へ勢い良く飛んでいった。
それを悪鬼那は左手で受け止める。

「…お前は?
おいデブ!誰だこいつは!
…もしかして、こいつか?」

みしみしと、掴んだデブの頭を悪鬼那は締め上げる。

「そ、そうです!痛でで、痛でで!はわわ、申し上げます!な、名前は今の衝撃で、完全に忘れちゃいましたが、確か奴は言ってました…痛でで!

『悪党共にピンチのヒロイン…残すは正義の味方…』
そう!奴は正義の味かたぴゃっ!」

全て言い終わるまでに、デブの頭は悪鬼那に砕かれていた。

「馬鹿かお前…面白解説なんていらねーつってんだろさっきから!
…所でお前…って、何っ!
あ、あいつ一体どこに行きやがっ…」

-ジャキーン-

鋭い金属を断ち切る音が、悪鬼那の後方で聞こえる。悪鬼那が振り返ると、鎖から解除されたかぐやを抱きかかえたディオナがそこにいた。

「てっ、てめえいつの間に!」

驚きの声をあげる悪鬼那。

「あ…あなたはディオナさん…」
「そうだ。君を助けに来たよ。おじいさんはどうした?」
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