完全秘密主義恋愛♥
「先生汚ーい」
実際、若干引いた。
うえー。
「イヤ、今のは高瀬が原因だろ」
先生は口の周りについたコーヒーを拭った。
「ひどっ、仮にも女子高生に向かってそんなこと!」
あ、ちょっと気が楽になったかも。
そう思った。
「俺は忙しいからな。俺が回収するのは無理だ。重いなら仲いいヤツに頼んで手伝ってもらえ。えーと…そうだ、お前花本と仲いいだろ?」
花本……宝。
ぐっと胸が締め付けられるような感覚がした。
「そう、ですね…」
あたしは急に踵を返して走り出した。
吐き捨てるように「失礼しましたっ」と言って。
取り残された先生は唖然として、たった今飛び出して行った女子生徒が最後に見えた職員室の扉を見た。
「何だあれは……」
昼の騒がしい職員室に先生の間抜けな言葉が、ひとつ落とされた。