CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=

《数日前の出来事》


俺達は、本郷スタジオの5階で泣きそうになっていた。


『何やってるんだ!

昨日より腕落ちたんか?』

「すみません。」

『アルバイトとはいえ、遣るからには気合い入れてシッカリ演奏しろ!』

「ハイ。」

『もう一度頭から。』

「ハイ。(ρ_;)」

『何やってるんだ!

お互いの音をちゃんと聴いて!

ベース、もっと1音1音を正確に!

キーボード、余計な音を入れるな!

ドラム、ハイハットとスネアをもっと強めに!
きちんとトップシンバルにミュートをかけて!

ギター、譜面通りに弾けって何度言わすつもりだ。』


延々、怒られ続け漸くレコーディングが終了した。


本堂さんは、何回か演奏したのを録音して、良いところを繋いで1曲を作るやり方はしない。

1曲を最初から最後まで演奏して、まるまるOKじゃ無いと、最初からやり直しである。

だから、4曲レコーディングするのに、90テイクは軽くやり直しをさせられる。

だから、レコーディングが終わった時には、夜の23時を回っていた。

「お疲れ様でした!」

『お疲れ様。

ユー君、喉は大丈夫かい?』

「ぢョット、い゛タい゛でず。」

『なんか凄い声になってしまったな!

今日はユックリ休んでな!』


メンバー全員がグロッキー状態なので、スタジオの裏に在る俺のマンションに皆やって来た。

「参ったネェ~!」

『疲れたゾー!』

「夜遅くに大声出すなよ。」

『ペガコッパヨー。(腹減ったー。)』

テジュンもうるさいな…

「ナド ペガコッパ。(僕もお腹空いたな。)」

ユー君まで・・・

『誰が行くんだ!?』
相変わらず、ケントは唐突に訳分かんない事を言い出す。

「行くって何処に?」
素朴な俺の疑問に彼の一言で始まったバトルの行方は……


『表通りのコンビニに弁当買いに行きたい人!?』

誰も居ない……

まぁ、当然と言えば当然である。

そこで、我等XYZのメンバー全員でじゃんけん大会が始まった。


すぐに決まるとショックがデカイので先に2勝した者から抜けて、最後の一人が買いに行く事になった。

言い出しっぺの悲劇とでも言いましょうか。

結局、ケントの完敗で、この大会は幕を閉じた。


明日は俺の誕生日。

実家に帰って来るようにオモニ(お袋)が言ってたっけ……

 
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