CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 

それからユー君は、
日本語バージョンの約束も歌った。

最初は拍手をしてくれた人たちも、だんだん疎らになり、拍手どころでは無かった。


佐々木部長にお礼を言って、デパートを後にした。


『ヒョン(アニキ)何処に向かってるんですか!?』

「渋谷のハチ公前にだよ。

今から、そこで歌って貰うから。

ちゃんと警察にも届けは出しているから安心して歌ってくれ!」

『ストリートライブやるんですか?』

「そうだよ。

車の後ろにはギターも積んである。」

『ソウルで何度かやった事有るけど…

ちょっと苦手なんです。』

「だと思った。
だからやるんだよ!」

『……』

ハチ公前には沢山のパフォーマーやバンド、芸人から駆け出しの劇団員まで様々な人たちがいた。

それを見ようと集まった観客を合わせたら、かなりの人数である。

『人、多くないですか!?』

「こんなの少ない方だよ。

週末に来たらビックリするよ!
この倍以上は集まっているから。」

『そうなんですか……』

「さぁ、歌ってくれよ!

小さな声じゃ。誰も聴いてくれないよ!」

『ハイ……』

「まずは、MY LOVEから歌ってみな。今度は、俺もギターで伴奏入れるからな。」

『が…頑張ります。』

♪♪~~!

「誰も聴いてくれないよ!

もっとお腹から声を出して!」

『隣のバンドの音が大きすぎて、難しいですよ!』

「あんなショボいバンドに負けるなよ。

ユー君、お前はプロに成るために日本に来たんじゃ無かったのか?」

『そうです。プロに成りたいです。』

「だったら、自信を持って、思いっきり歌えよ!」

『わかりました。』

「じゃあSacrificedいくぜ!」

『The land~~♪』

その日は、ユー君と一緒に遅くまでストリートライブをやった。


結果は……まだまだである。

その翌日も●丸にて歌ってから、ハチ公前に。

そんな毎日で、少しずつユー君に変化が表れ出した。

恥ずかしいよりも前に、どうにかして自分の歌を聴いて楽しんで貰いたいって思いだしたようだ。

日曜日の昼は、遊園地に在る300人以上収容できる野外ステージをアボジ(親父)が借りて来た。

休日の遊園地は、物凄い人で溢れかえっていた。

大丈夫だろうか…

緊張して歌えなければ、恥をかくだけではすまない……


 
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