CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
と俺は、思っていた。
観客の反応も予想していたより遥かに良かった。
しかし、ユー君のトークをはさんだ後、ハングル語の歌を歌い出してからの観客席の雰囲気は一変した。
10代の若者達は席を離れて行ったり、ザワザワしはじめてしまった。
その瞬間、ユー君の歌声にも変化が出始めだしてしまった。
声に張りが無くなっていき、俯き加減で歌っていた。
ノパッケアンポヨが終わったところで、俺はマイクを取ってトークをはじめていた。
「皆さん、今日は歌を聴きに来てくれてどうもありがとうございます。
彼は、韓国から来たパク・ユ君です。
今流行りの韓流スターの仲間入りするために、今度日本でデビューする事になったんです。
柳時●とか、P●とかと肩を並べてもひけを取らない歌唱力のある若手スターになる…と思います。」
するとテジュンが、『なるの後の…ってなんだよ!?』
とすかさずツッコミを入れてくれた。
オッ、観客が話を聞き始めてくれたぞ。さっき席を立った若者達も戻って来た。もう少しだ!
「ユー君、韓流スターの仲間入り出来そうかい!?」
今度はユー君に話を振ってみた。
『成レタラ良インダケド、僕ハ喋リハ苦手ナンデスヨ。
ダカラ、映画ヤドラマッテ言ウノハ出来ナサソウデス。』
「ユー君に映画やドラマは期待して無いって!」
観客席から笑い声が聞こえ出したぞ!
『バラエティーモ無理カモ。』
「でもね皆さん、彼の歌声は最高なんですよ。
って、さっきまで聴いてくれていたから知っていますよね。
それじゃあ、もう一曲韓国語の歌を聴いてくれますか!?
最初に歌ったMY LOVEの韓国語バージョンで、ナエ サランと言う曲です。
それじゃあユー君、最高の歌声を聴かせてな!」
『ハイ。』
と言うユー君の声には、先程の沈んだ時の弱さは微塵も無くなっていた。
♪♪~~!
パチパチパチパチパチパチパチパチ……
先程以上の拍手がかえって来た。
「いよいよラストの曲になりました。
この曲は、僕の父が若い頃作った曲に新しい歌詞を付けたものです。
約束って言う曲なんですが、韓国語でも約束の事をヤクソクって言うんですよ。
なんか親近感が湧いてきますよね。
それでは、最後まで聴いて下さい。」
♪♪~~!
『今日ハ、ドウモアリガトウゴザイマシタ。』