CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
と言って、おいらのデザインした着物を見せてみた。
『これは、とっても綺麗なデザインですね!
何の花ですか!?』
「これはですね、沖縄に咲く《でいご》って言う花なんです。
沖縄の民族衣装に描かれていたのを以前見たことがあって、それをヒントに私がデザインしてみたんです。」
『貴方がデザインをしたの!?
凄いです。』
「そんな、大した事ではありませんですよ!
そしてですね、沖縄には《かりゆし》って言う、ハワイのアロハシャツの様な服が有るんですけど、それと同じ遣り方で着物に描いて貰ったんですが、如何ですか!?」
『とっても気に入りました。』
「帯も沖縄をイメージして、冠鷲を10種類の色の糸で日向スガ縫いで刺繍を施してあるので、その帯を締めると、とっても素敵ですよ!
これは、一点物なので少し割高にはなりますが、それでもさほど高価な物ではありませんから、楽な感じで着られると思います。」
『この赤い花が、フィリピンに居た頃に見た南国の花に良く似ていて、とっても懐かしくて、これにします。』
「懐かしいですか。
《でいご》は、インドネシアやマレーシアにも咲いているので、もしかしたらフィリピンにも咲いているのかもしれませんね!
それでは、こちらに来て下さい。
担当の女性スタッフが採寸致しますから。
後、足袋とか手提げ、帯留めや和装時計など色々有りますので、採寸が終わりましたら、また此方へどうぞ。
一応、色やデザインに併せて用意致しますから。」
『分かりました。
それでは、ちょっと行って来ます。』
と言って、採寸するために梓さんと二人で店の奥に在るお座敷に入って行った。
しばらくすると、ニコニコ顔をした那奈さんが戻って来た。
「如何でしたか。」
『大きな姿見の前で反物を肩から掛けて貰ったの。
スッゴク綺麗な赤い花が沢山咲いているから、この振袖を来て来年の成人式にも出たくなったわ。』
「そうですか。
有り難うございます。
此方をご覧下さい。
小物類を一通り揃えて並べてみましたので、お気に召した物を選んでいただけますか!?」
『わぁー素敵。
匂袋まで有るんですね!』
「はい。最近では、昔から使われていた香りとは別に、今の若い子達が好むような香りがする匂袋も御座いますので、お確かめ下さい。」