天翔る奇跡たち


 ドロップスはあたしの顔と手のひらのお菓子を何遍も見返し、思い切ったように大きな口を開けて、二、三粒のそれをいっぺんに放り込んだ。

「あ、あーっ、飲み込んじゃ駄目ぇ!」

 思わず声をあげたら、器用にもぺろ、と舌の上に吐きだした。あたしは仰天したものの、彼女のすること何から何までちゃんと見ておかなくてはならない、と。すこし緊張した。



 で、今に至るんだけど。

 ドロップスの好物はドロップ。くす、わかりやすい。いつもあたしが携帯してるから、おやつの時間になると彼女はもの言いたげにして天からドロップが降ってくるのを待っている。

最低一個はあげてるんだけれど、もっと欲しいときは『お腹すいたろ』と言っていつまでも離れない。かわいいけれど戦闘中だと困る。そんな時は

「さっきあげましたー。ドロップはもうありませーん」

 とごまかす。



 これ、いつまでもつだろうか……




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