天翔る奇跡たち


「むっ、駄目だこれ以上……引き上げるぞ」

 金の姫竜さんは軍師でもあった。

「下から狙われている。すでに蟻の子一匹逃さず、といったところか……」

 渋そうに金竜のお姫様が言う。

「え? でもここからは何も見えないよ?」

 おかしいな。あたしだって目は良い方なんだけどな。

「ここからさらに降ったら蜂の巣だ。幼竜の弱点は腹だ。ねらい撃ちにされる」

 なんでそんなもんが見えるわけー?
 
 こりゃあたいへんだ! あたしとガナッシュは弾弓に火薬玉をつがえて右翼と左翼に立つ。
 
 両手が使えない状態のグリフには悪いがドロップスを押さえててもらう。

 ここはもう、撤退するしかなさそうだった。
 だが。

「おおっ、あの印は!」
 ディノーディアさん、あたし達を閉じた翼で庇いつつきりもみ落下。なな、何を見つけたんだー?




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