天翔る奇跡たち


 谷の中にある大きな宮殿でバルーンのようで、あたし達から見るとまん丸の、土の屋根にとりついて、ディノーディアさんはカギ爪を引っかけた。ここからだとほぼ真っ逆さまだ。またまた翼に助けられてあたし達はそれぞれの体勢で攻撃に備えた。

「どうしたっ、どこか撃たれたのかっ」

「それどころではない」

 真っ先に味方の心配をするところは、ガナッシュ、あつぃ。でもこちらのことも心配してよ……

「ちい、戦力が削がれたか」

 今のあたし達には一番、つらい。きりもみ落下っていうの、ぐるぐる回りながら落下、でしょ? あれね、目ぇ回るよ……ディノーディアさん、弱点であるお腹、さらしたまんま、しっぽで宮殿の窓にとりついてる。それでも槍だの石つぶてなどは飛んでこない。



 あれあれ? さっそく降参?



 ……んなわけないよね。











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