天翔る奇跡たち
「いっとくけど、うちらの家族、一族抜けたから」
「たかが祭りの余興ではないか角比べなど。そなたの気に病むことではないではないか」
「できない。亜竜だからだよ! 竜にも人間にもなれない、おれたちの気持ちなんて、ドラゴンにわかるものか」
「そなたの父御がそうせよと申したのか。谷へと下れと」
「どうとでも。思いたいように思えばいいさ」
「ならばせめて志を曲げることだけはしないでくれ」
ディノーディアさんは力が抜けたように、地面に崩れ落ちた。あたし達も一緒に。
「なに言ってるんだよ……、なに、言ってるんだよ! 一族を抜けたおれがドラゴノーツになんか、なれるわけがないだろう!」