天翔る奇跡たち
「私は子どもだ。何が得意なワケもない、だが! そなたの作ったものを口にし、始終そなたの世話を受けて、竜が恩義に感じないと」
竜姫さん、のどを詰まらせたように嗚咽し、次の句を続ける。
「一片たりとでも思うているのか! 悔しい、くやしいぞ、ジェイド………恥じよ、そなたの闇に負けた心を、恥じよ!」
「負けた心? そんなこと思ってはいない、ただー忘れたいのさ」
少年は唾棄した。そのまま背を向けてさっさと立ち去ってしまう。
「なれば!」
竜姫さんの声は悲痛さを帯びていた。
「その……リングを外すのだ。ドラゴノーツを志す者の印を」
「今日は砂埃だらけですぐには取れない」
「知っているだろう! ドラゴンがそのリングにふさわしくない者をドラゴノーツとは認めないと」
「そうかよ! なら、皆様お立ち会いの元、外してやるよ! こんなもの!」