幕末異聞―弐―
「はっ!あんた一体いくつなんや?完全に悟り拓けとるで?」
音もなく木戸を開ける斎藤の背中に、楓は呆れた声で問いかけた。
「ふっ。子供な大人を見すぎたのではないか?」
珍しく微笑んだ斎藤にそう言われて、隊士と楓が真っ先に思い浮かべたのは土方。それに気づいたのか、斎藤はくすくすと声を出さずに笑っていた。
「これから君がどうなるのか、どうするのかは分からないが、健闘を祈ろう」
その腕も含めて、と口元だけ動かして楓にしか分からない餞別の言葉を締めくくった斎藤は、広間から消えて行った。
「あいつ…わかっとったんか。嫌な奴」
悔しそうに箸を噛み、楓は最後まで斎藤に勝てなかったことを悔やんだ。