サクラ咲ク
「どうした?怖くて手も出ねぇか?」
お互いに面をつけていないからお互いの表情がよく見える。
薄く笑った土方さんを見て、これは挑発だと理解した。
挑発に乗って熱くなれば、隙はいくらでも出来る。
確かに、ムカツクけど乗っちゃいけない。
――『挑発に乗らない為には、心を無にしろ。』
心を、無に。
水谷先生の声が蘇る。
――『だがな、無にする余裕がない時はな、思いっきり相手を見下してやれ。』
にやり、と笑った水谷先生の姿が見えた気がして、私は小さく頷いた。
「集中してなきゃ、してやられちゃいますよ?土方さん?」
嘲るような笑顔で、
わざとゆっくりとした口調で。
「…ハッ……自分の言った事、後悔することだな。」
やっと動いた土方さんを見て、私は どくり と血が騒ぐのを感じた。
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