サクラ咲ク
竹刀を受けずに、避ける。
土方さんの驚いた顔が傍目に見えて、口元が緩む。
後は、打ち込むだけ。
防具をつけてないから、思い切りは打ちこめない。
怪我でもされたら流石に後味悪いし。
勝利を確信した時だった。
「トシ……………」
近藤さんの呟きが聞こえたのは。
周りを囲んでいる隊士の人たちも、不安そうな顔。
――この人は、この場所のトップの人間なんだ…
そんな人が、私なんかに負けたら…
近藤さんも隊士の人たちも、不安になる。
土方さんの威厳が傷つく…
信頼関係に、関わる。
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