二 億 円
「ここが食卓です。」
案内されたのは食卓。
屋敷の割に意外に狭い…
椅子も二つしかないし…
そういえば、この屋敷には彌生しかいないのかな?
「ねえ、彌生。この家には彌生しかいないの?」
………。
「あの…彌生?」
………。な、なんかマズいこと聞いちゃったかな?
「…いますよ。使用人が二人。」
「そ、そうなんだ…その人たちはどこに…痛!」
急に立ち止まった彌生に
思い切り衝突。
鼻血出そう…
「ひなた…
貴女は私以外の者と会うことも口を聞くこともありません。
つまり使用人のことも知る必要は全くありません。」
きっぱりと冷たく言い放つ。
誰にも会わず、会話せず、
生きていけだなんて…
「どうして…?」
「知ってどうするのです?」
え?
予想外の返事に唖然とする。
「ひなたは、それを知ってどうするのですか?
逃げるのですか?
従うのですか?
知ったところで貴女に何も変化はありませんよ。
貴女は私に買われた。
私だけのものになったのです。
逃げも隠れもできませんよ。
貴女がどんなに抵抗しても、ね。」
クスリ、と笑う彌生の瞳はとても冷たくて。
ゾクリ、と悪寒が走る。
「さあ、ひなた。食事にしましょうか。何が、タ ベ タ イ ですか?」