月の恋
「………もう良い……咲羅(さくら)」
「はっ」
『うわっ!』
鬼壟と生綉姫の間に突然、現れた咲羅に生綉姫は驚きの声をあげる。
「…生綉姫の仕立てをしろ…奴らに見せる」
「……畏まりました」
「鬼壟様!まさか奴らって!!」
暁岾の焦る声が廊下に響きながらも話はどんどん進んでいく。
ん?
何かさっきうちの名前でませんでした?
…まぁ良い、それより!
『あんた!さっきのもう良いってちょっと失礼やなっっ!何やっとんねん!!』
鬼壟との話が終った咲羅は自分の肩に生綉姫を担ぎ、鬼壟や暁岾がいる廊下から猛スピードで離れるとある一室へと生綉姫を投げ込んだ。