月の恋
生綉姫が咲羅と戦ってるその頃…
廊下に残った鬼壟と暁岾は……。
「………」
「………」
沈黙が続いていた……。
だがその沈黙を破ったのは、
「…暁岾、言いたいことは言え」
鬼壟だった。
「…生綉姫様をどうなさるおつもりですか?」
「……お前は馬鹿じゃない。奴らを呼ぶだけでも分かるだろう」
「だからです!彼女は人間です!元の世界に帰すべきです!!」
「それはできない」
「何故です!?あの子は人間です!生綉姫様を殺すおつもりですか!?」
「暁岾、いい加減にしろ」
「…っ!」
鬼壟の冷たい声が暁岾から声を奪う。
「お前ももう分かってるはずだ。」
「………」
「だからあいつを“生綉姫”と呼ぶんだろ」
「っ!!」
暁岾はぐっと唇を噛み下を向く。
分かっていた…
最初は信じられなくて信じたくなくて嘘だと思いたくて。
だけど…
「鬼壟様に抱えられ戻ってきた時に“生綉姫様だ”と思いました…。」
「その時点で気づいたか…さすがだな」