月の恋
「どうして生綉姫様は人間の世界に居たのです?それに…生綉姫様は…」
「暁岾……生綉姫だけじゃない」
「……え?」
「…こないだ蒔騎が現れた」
「っ!な…んで…彼は死んだんじゃ…」
「あぁ…俺もそう思っていた」
鬼壟は少し目線を下げ自嘲的に笑う
「蒔騎が生綉姫を姫だと呼び。月鬼族と名乗り迎えに来た……それが全てなんだ」
「どうして?じゃ!私達は14年間何も知らずに生きてたのですか!!」
「…あぁ」
「そんなのって…」
「あんまりだな…」
暁岾は下を向いたまま力のない弱々しい声で鬼壟に問いかける
「…生綉姫様はどうして此処におられるのですか?迎えに来たのなら……」
「暁岾、これは蒔騎に頼まれてお前に話す……14年前の真実だ。蒔騎が訪れたあの日」