時雨の奏でるレクイエム
「クラアルディーナ、だと?」

ディランはよろけて剣を落とす。
頭の痛みに気を失いそうになりながらも、無様に悲鳴をあげたりはしない。

「は、はは……それじゃ、まるでお前が俺の弟みたいじゃないか」

「弟なんだよ。双子のな」

「嘘だ」

ディランの声は震えていた。
痛みが最高潮に達したのか、呻きがひどくなった。

「まさか。まさか、まさか、まさか……!!」

ぱりぃん……

どこからかガラスの割れるような音がした。
そのあと、ディランがバランスを崩し、倒れた。
ラディウスは魔力の後を追って城の最上を見た。

「クルーエル。ありがとう……記憶を戻してくれて」

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