幕末異聞ー参ー
「おまんはどうするき?」
「私は念のため外を見回っておりますゆえ、お気になさらずお上がりください」
そう言って一礼すると付き人は笠を被り、速足で宿屋を去っていった。
「ほー。しっかりした付き人をつけとるのぉ。桂どのは」
暖簾の間から付き人の背中を細目で見てから、坂本は佐伯屋に入っていった。
「あなたがぁ………坂本……様です…ね?」
「お……おぉ」
「はいはい……お待ち…しておりまし…た」
「か…桂殿はどちらにおられるがか?」
「そこを……右………いや……左に曲がって…四つ…目……のお部屋です」
宿屋の番台には老父がおり、独特なテンポのしゃべり方に坂本は調子が狂いそうになった。